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フードパントリーとこども食堂 ニーズに寄り添い自然体で支援

取組事例の主な分野:フードパントリーとこども食堂 ニーズに寄り添い自然体で支援

支援団体トピックス

フードパントリーとこども食堂 ニーズに寄り添い自然体で支援

NPO法人「ハッピーサポートプリママ」 (長崎県)

2026年8月7日 掲載

長崎県大村市は、波静かな大村湾に臨む人口約9万9,000人の都市です。長崎空港や高速道路のインターチェンジ、西九州新幹線の駅が立地するなど、交通の便利さもあって移住者を引きつけています。一方で、新たな暮らしに悩む子育て家庭も少なくありません。「子育てや介護などで悩みを抱え、支援が必要な女性たちも増えています。できるかたちでサポートしていきたい」と、ハッピーサポートプリママ(プリママ)の代表、藤川五月さんは力を込めます。

子育て応援誌から“進化”

藤川さんは隣の長崎県諫早市出身で、結婚を機に夫の出身地・大村市に転居しました。ママ仲間たちと子育てサークル「プリティママクラブ」をつくり、平成19年(2007年)から子連れに優しい店などを紹介する子育て応援誌「プリママ通信」を発行。自衛隊の基地もあり転勤族が多い大村市で、引っ越してきたばかりの子育て世帯からのニーズも高く、市役所の窓口や保育園などにも置かれていました。

コロナ禍で取材なども難しくなり、令和2年(2020年)に廃刊。ちょうどその頃、市から経済的に厳しい状況にある女性に生理用品を配布する事業への協力を求められました。関わるうち、当事者から「今一番欲しいものは食べ物です。」という切実な声を聞く事が多くなり、藤川さんやプリママ通信時代からの仲間たちで「喜ばれることをしたい」と、フードパントリーを始めるようになりました。


支援に取り組む藤川さん

このフードパントリーを継続するため、令和4年に設立したのが今のハッピーサポートプリママです。藤川さんは結婚前に大手企業の営業職として活躍していました。持ち前の行動力と、応援誌を作っていた頃に培ったネットワークを生かし、メンバーと力を合わせて市内企業などに食材の寄付を募り、協力の輪を広げました。

配布と調理で食材を有効活用

「ありがとうございます!」
市のこどもセンター1階で月1回、日曜朝に開く「フードパントリーおおむら」の会場では、菓子を受け取ったこどもの声が響きます。お米やレトルト食品が入った袋が世帯ごとに手渡され、寄付で集まったこども服や日用品、衛生用品も並び、毎回約100人が必要な品を受け取っていきます。


お米やレトルト食品などが受け取れる「フードパントリーおおむら」

ハンドクリームづくりをはじめとする、親子で参加できるワークショップもあります。「皆で楽しめる催しも、支援を続ける力になります」と藤川さんは話します。一度フードパントリーを利用した人には、関連情報をLINEで連絡。継続的な支援につなげるほか、より困難な状況に直面している人には別途支援をするという臨時的なサポートも行っています。

令和6年10月からは、フードパントリーに続いてこどもセンター2階で「みんなの食堂おおむら」を同日開催しています。これは不登校のこどもを育てる母親たちのグループ「nomado village(ノマド・ヴィレッジ)」との共催によるもの。大人は100円、こどもは無料。寄付された食材を基に、元シェフが考案・指導してノマドのスタッフが和洋中のバランスの良いメニューを調理します。


手作りの料理が味わえるこども食堂

プリママは、フードパントリーを行うために個人のほか企業・団体からも広く食材を集めていますが、中には大袋に入った業務用食材や冷凍食品もあり、こういった食材をこども食堂で有効活用しています。

人の輪で事業を継続へ

プリママは、食糧支援のほかに、子育て中の女性らの「かけ込み寺」となる施設を運営しています。令和5年に開設した短期入居施設「ステップハウス」は、藤川さんが知人のつてで借りた空き家を活用。子連れでもスムーズに入居できるように日用品や子供服を備えます。プライバシーに配慮し、一度に入居できるのは1世帯のみで、電気代として1日300円の負担で利用できます。


一時入居施設「ステップハウス」の内部

運用方針は「自分が歩みたい未来へ前向きに準備するための一時的な避難所」です。対象はDV被害者らに限らず、「家族と折り合いが悪い」「家庭内に居場所がない」といったさまざまな悩みを抱える女性を受け入れます。令和6年度は7件、翌7年度は5件の利用がありました。

なお「フードパントリーおおむら」と「ステップハウス」については、令和6年度こどもの未来応援基金事業(未来応援ネットワーク事業)に採択、その助成を利用しています。

フードパントリー、こども食堂、短期入居施設と展開する中、物価高騰が事業継続の「壁」となっています。貧困世帯から食糧支援のニーズが高まる一方で、家庭や企業から寄せられる食材の数が減っているためです。支援の実績を丁寧に説明して深く賛同する協力者を募り、ネットワークの維持だけでなく、新たな支援網の開拓を目指しています。そして、「今の活動をいつかは次の世代に託したい」と願っています。


ハッピーサポートプリママのメンバー

(令和8年2月22日取材)