募金や寄付で支援する
その他の支援
「肌感覚」を大事にし、社員自ら支援の現場に足を運び、支援品を手渡す
株式会社壱番屋(愛知県)
2026年5月7日 掲載
株式会社壱番屋(本社:愛知県一宮市)は、1978年の「カレーハウスCoCo壱番屋」の創業直後から、「未来あるこどもたちを応援したい」との思いのもと、継続的に社会貢献活動に取り組んできた。児童福祉施設や障害者支援施設などへのカレーの提供は、現在も年に20回程度実施しており、収益はその施設にそのまま寄付している。
本社の社員が福祉施設を訪れ、昼食時やバザーの開催時などにカレーを提供している(壱番屋提供)
支援活動 寄付金から”顔の見える”かたちへ
壱番屋が社会貢献活動で何より大事にしているのは、「自ら汗をかき、足を運ぶこと」。カレーを提供する際も、社員が実際に支援の現場を訪れ、こどもたち一人ひとりに手渡ししている。一方で、寄付金などの活用は、長年にわたりひとつの福祉団体に委ねる形をとってきた。壱番屋は、「経常利益の1%程度を寄付に充てる」ことを決めており、業績の向上に伴って寄付額も増えていった。その額が徐々に大きくなってきた10年ほど前、「自分たちの寄付は本当に役立っているのだろうか」、「ほかの方法もあるのではないのか」という声が社内で上がるようになった。そんな時に出合ったのが「こどもの未来応援国民運動」。寄付金活動を“顔の見える”かたちへシフトする大きな契機となった。
施設から多様な要望 新一年生にはランドセルを
「こどもの未来応援国民運動」が、企業や個人の思いを本当に支援を必要としている団体などに届けていることを知り、まず、2017年に「こどもの未来応援基金」への寄付をスタート。さらに、企業と支援団体を結ぶマッチング事業を通じて各地の学習支援団体の紹介を受け、パソコンや問題集、模擬試験の受験料のほか、ミーティングルームのモニターや学習室のエアコンといったものも支援している。
2021年には、支援を求める児童養護施設に備品などを贈る独自の取り組みも始めた。その際に重視しているのが、事前に施設から要望を聞き取り、こどもたちが本当に必要としているものを届けること。毎年、全国から2、3県を選び、各県から紹介を受けた児童養護施設にアンケートを送ると、予算不足で買い替えられなかったエアコンや冷蔵庫、洗濯機、こどもたちの自転車など、多様な要望が寄せられるという。2022年からは、各児童養護施設で新一年生になるこどもたちにランドセルを贈る事業も開始した。これも、あらかじめ好きな色やデザインを聞いて、希望に沿ったものを社員が施設まで届け、直接、手渡している。

こどもたちが自分で選んだデザインや色のランドセルを贈っている(壱番屋提供)
触れ合う経験で「社会の役に立っている」実感
こうした取り組みの背景には、創業者・宗次徳二氏の「社会に感謝し、恩返しをしたい」という思いがあるという。総務部長の矢野義明さんは、こども支援が企業の仕組みにまで組み込まれるようになったことについて、「その志がこどもたちへの支援へとつながり、会社のDNAとして受け継がれているからだと思います」と説明する。東日本大震災や熊本地震、能登半島地震などの災害時には、社員が被災地に赴いてカレーの提供をしているが、こうした現地に足を運ぶことをいとわない企業風土があるからこそ、児童養護施設や学習支援団体への支援も自然に発想できたと、矢野さんは語る。
また、これらの活動は社員自身にも大きな影響を与えている。総務課長の古川剛さんは、ランドセルを持って行った社員から、「自分のこどもと同年齢ぐらいの子と話していたら涙が出た」という話を聞いた。こどもたちと直接触れ合う経験が、「自分たちのしていることが社会のために役立っていることを実感する機会にもなっている」ことに、古川さんは気付かされたという。
災害時には電気やガスなどのインフラが被災した地域にキッチンカーを派遣して食事支援を行う(壱番屋提供)
古い冷蔵庫や傷んだ机…「まだまだ十分ではない」
活動の企画・運営には社員も主体的に参画している。各部署から選ばれたボランティア委員で構成する委員会が、月1回、会合を開き、施設を訪れて気付いたことや職員らから聞いた要望、次回のイベント情報などを共有し、次の活動につなげている。
学習支援団体への支援は、現在、年間約20団体のペースで継続している。また、ランドセルは、一度寄付した施設には6年間、続けて贈ることにしており、現在、計10県で実施しているが、今後、全都道府県への拡大を目指している。古川さんは、「施設を訪れると、20年以上使われている冷蔵庫や、傷んだ机で勉強するこどもたちの姿を目にします。必要とされるものをお聞きして届けしていますが、まだまだ十分ではない。実際に行くと痛感します」と、これからも“顔の見える支援”を続けていきたいと話している。

店頭に募金箱を設置して寄付を呼びかけている(壱番屋提供)
(2026年2月5日取材)