こどもの未来応援フォーラム2026 開催レポート
こどもに笑顔を、私たちの力で。支援活動と応援の輪を広げよう
こどもたちを支える草の根の活動を広げていくため、「こどもの未来応援フォーラム2026」(こども家庭庁主催、読売新聞社後援)が2月5日、東京都千代田区の霞が関プラザホールで開催されました。こどもを社会全体で応援する気運を高め、こどもの貧困対策が国を挙げて推進されるようにするための官公民の連携・協働プロジェクト「こどもの未来応援国民運動」をもっと知ってもらい、さらに活動の幅を広げようと、こどもの支援に取り組んでいる企業とこどもたちを草の根で支援している団体などが参加し、協力を呼びかけました。
※フォーラムを採録、再構成しました。

こども支援団体や寄付企業、意義と現状を語る
「こどもの未来応援国民運動」は、生まれ育った環境によってこどもの未来が閉ざされることがないように、国、地方公共団体、企業、民間団体などがネットワークを作って様々な支援を後押しする取り組みです。主な取り組みは3つあり、1つ目は、企業や個人からの寄付金をこどもたちへ草の根の支援を行う団体に支援金として渡す「こどもの未来応援基金」。2つ目は、「こどもたちの支援をしたいがどうすればいいか分からない」という企業などに受け入れ先を紹介する、企業と支援団体のマッチング。3つ目は広報・啓発活動で、今回のフォーラムは、その一環として開催されました。
フォーラムでは、冒頭、こども家庭庁支援局の齊藤馨局長が、「すべてのこどもが夢や希望を持って成長していける社会を作るために、支援の輪を広げていくことが重要」とあいさつ。メイントークで、「カレーハウスCoCo壱番屋」を全国展開している株式会社壱番屋から、こどもを支援する意義などについて聞き、続くパネルディスカッションで、企業と支援団体の計4人が現状や改善策を話し合いました。(以下、敬称略)
メイントーク
「なぜ私たちはこども支援に取り組むのか?―企業の視点から」
株式会社壱番屋 総務部部長 矢野義明
総務部課長 古川 剛
総務部主任 周防祐子
(聞き手:こども家庭庁支援局家庭福祉課・企画調整官 胡内敦司)
社員が現場でニーズ把握、「顔の見える支援」30年
胡内:こども支援の取り組み内容を教えてください。
周防:弊社の活動は30年ほど前から続いています。創業時から続く「感謝と恩返し」の思いを原点に、児童養護施設などへカレーの提供や冷蔵庫やエアコンなどの寄付をしています。

(左から)壱番屋の古川剛課長、矢野義明部長、周防祐子主任
矢野:また当社は学習支援団体にタブレットPCや教材の購入代金、模擬試験の受験料などを支援していますが、支援先の選定等をこども家庭庁と連携して行っています。また、売上金の一部を、「こども未来応援基金」に寄付しています。
胡内:支援には企業としてどんな思いを込めているのでしょうか。
古川:創業者の人生から生まれた、こどもたちへの深い思いが原点となっています。未来あるこどもたちへの支援は、私たちにとって一過性の取り組みではなく、DNAとして受け継がれ、企業の仕組みとなっています。
周防:私たちは、「自ら汗をかいて足を運ぶこと、顔の見える支援」を大切にしています。2022年から始めたランドセルの寄贈では、こどもたちに色やデザインを選んでもらい、社員が直接、手渡しします。児童養護施設への寄付も、何が必要かを聞き取って寄付を進めています。社員が支援の現場に行き、いろいろな生の声を聞くことで新たな支援ニーズを知り、次の支援に活かすようにしています。
胡内:そうした現場の声は、どのように活かしているのですか。
古川:各部署から1人ずつ選任してボランティア委員会を作って、現場で聞いてきた困りごとや次のイベントなどの情報を毎月、共有して活動内容を議論しています。
胡内:そうしたご寄付に予算枠のようなものはあるのでしょうか。
周防:当社では経常利益の1%程度を寄付に充てることにしています。会社が成長すればこどもたちへの支援を増やすことができ、こどもたちの笑顔につなげられる、そう考えるとワクワクしますね。
胡内:今後、「こんなことがしたい」という展望をお聞かせください。
矢野:児童養護施設への寄付は、毎年2、3県を対象にしていて、今はまだ計10県ですが、全都道府県に広げていきたいですね。
パネルディスカッション
「こどもの未来のために、いま私たちができること――こども支援の現場から」
パネラー
認定NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク理事長 栗林知絵子
NPO法人サンカクシャ代表理事 荒井祐介
株式会社NTTドコモ経営企画部サステナビリティ推進室長 涌井道子
株式会社イトーヨーカ堂サステナビリティ推進部統括マネジャー 小山遊子
モデレーター
政井マヤ
様々な居場所を地域に 「お節介」の輪を広げたい

豊島子どもWAKUWAKUネットワーク理事長 栗林知絵子さん
政井:まず、それぞれの取り組みについてご紹介ください。
栗林:豊島子どもWAKUWAKUネットワークでは、子どもの貧困をテーマに様々な居場所をつくっています。こども食堂や無料学習支援、孤立しがちな子育て家庭を訪問する「ホームスタート」事業などのほか、「WAKUWAKUホーム」という、ひとり親家庭等の子どもが宿泊できる、親戚の家のような居場所も2017年から始めました。同じ地域で困っている人がいたら放っておけないという「お節介」の輪を広げることで孤立のない地域づくりにつながると思い活動を続けています。
▷詳しい活動内容は、こちら
頼れる人がなく課題に直面する若者たちの存在

サンカクシャ代表理事 荒井祐介さん
荒井:サンカクシャでは、親を頼れない15~25歳ぐらいの若者をサポートしています。親からの暴力や家族とうまくいかず、住む場所やお金に困っている子たちのため、深夜まで開いている居場所やシェアハウスなどを提供しています。まずは自立できるようにと就労支援も行っており、その一環として働き場所を作ってしまおうという考えから、ハウスクリーニング事業を立ち上げています。頼れる人がいない、お金もないといった若者に近づいてくるのが闇バイトや貧困ビジネス。そんな若者が直面している課題を知ってもらいたいと思います。
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涌井:NTTドコモでは、通信を提供する会社として、技術力や人間力でつながりを生み、社会課題を解決しようと取り組んでいます。具体的には、携帯電話の支払いなどで貯まるポイントサービスで皆さんから寄付を集め、「こどもの未来応援基金」などに寄贈したり、多くのこどもたちに未来への好奇心を育む機会を届けたいという思いから、直接、こども食堂や児童館などに出向き、プログラミングやVRゴーグルを使ったバーチャル体験などを提供したりしています。
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小山:イトーヨーカ堂では、地域の拠点として社会貢献活動のかけはしになれると思い、レジ募金やベルマークの回収を各店舗で行っています。こどもたちと接点を持ちながら取り組んでいることとしては、「ちびっこ職場体験」や小学校に出向いて交流授業を行い、一緒に商品開発の実践を行っています。また、こどもたちが考案した商品の販売により地域の魅力発信をする活動なども行っており、2020年から始めたフードドライブは、地域の助け合いのプラットフォームとして、今後、全店に拡大していきたいと考えています。
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「国が支援をつなぎ安心」「支援を受け活動が形に」
政井:ここからは、個別に詳しくお聞きしていきたいと思います。支援企業として活動に参加することで、社員に何か変化はありますか。
小山:こうした取り組みは、お客様を笑顔にします。目の前のお客様に笑顔になっていただくのは、私たちの仕事の本質的な部分でもあります。お客様に笑顔になっていただくと、従業員のモチベーションもあがります。こうした取り組みは、その好循環につながっている気がします。
政井:支援団体も、活動の幅が広がっていくとボランティアを集めるのが大変ですね。

NTTドコモ経営企画部サステナビリティ推進室長 涌井道子さん
栗林:応援したい、手伝いたいという思いはあっても、拠り所になる「旗」がないと参加しづらいものです。こども食堂など「この指とまれ」の旗が立ったら、まず、行ってつながってほしいと思います。
政井:「こどもの未来応援国民運動」は、こども家庭庁が事務局となって事務局となって官公民の連携・協働プロジェクトです。それが取り組みに影響しますか。
涌井:自分たちの取り組みが本当に役立っているのか、独りよがりになっていないか、悩みながら活動しています。この「国民運動」は、国が主体となっていろいろな支援団体とコミュニケーションを取りながら進めているので、一緒に活動していてすごく安心できますし、相談もできて大変ありがたいです。
小山:お客様からお預かりしたご寄付を責任をもって、安心してお渡しできるのがありがたいですね。また、様々な企業や団体の顔が見えるようになったので、このつながりをもっと活かしていきたいと思っています。
政井:支援を受ける側としては、いかがでしょうか。
荒井:「国民運動」では、団体を立ち上げすぐのタイミングで助成してもらったことで、活動をしっかりとした形にできました。育ててもらった部分があると思いますね。

イトーヨーカ堂サステナビリティ推進部統括マネジャー 小山遊子さん
栗林:子どもが宿泊できる「WAKUWAKUホーム」を運営するために一軒家を借りました。家賃も高く運営を継続できるか不安でしたが「こどもの未来応援基金」の助成金でスタートできました。
また、助成を受けてもその活動が自走できるまで成長するには時間がかかります。ですから数年間継続的に支援いただけることもありがたいと思います。
支援を始めたい企業は、できることから一歩を
政井:「こどもの未来応援国民運動」の取り組みのひとつ「マッチング」を利用してみて、その役割に、どんなことを期待しますか。
涌井:それぞれの企業が持つさまざまな強みがあります。支援団体のみなさんがその時、何に困り何を求めているか、リアルタイムに情報を出していただいて、双方をうまくつなげていただければいいなと思います。
政井:支援団体としては、どうでしょうか。
栗林:皆さんのお話を聞いて、「どう支援していいかわからない」という企業が多いのではないかと実感しました。その思いを取りこぼさず、つないでいただきたいなと思いました。
政井:これからこども支援を始めたいという企業にアドバイスはありますか。

小山:私たちは、小さく始めて形を作って広げていくということをやってきました。あまり大きく構えないで、できるところ、やりやすいところから始めるものよいのかなと思います。
涌井:自分たちの強みのところで、まずできることについて一歩踏み出してみる。そうすると、その先に繋がっていくのではないかと思います。
政井:支援団体として、今後、「こんなことをしてほしい」といった希望はありますか。
荒井:私たちは高校生の支援から始めましたが、今は20歳を超えた若者も支援対象になっています。まず、若者の課題を知ってほしい。本当に困っている子が多すぎる。若者への支援は本当にお金を集めにくいんです。こどもも若者も応援するプラットフォームとして、まだ知られていない若者の問題にも支援が広がっていくことを期待しています。